本研究においては、DHCPを利用してIPアドレスなどを動的に割りあてられている計算機の情報を、名前サーバで検索するための機構について考察した。具体的には、WindowsNTで供給されているDHCPサーバとWINSサーバを連携し、さらにDNSサーバがWINSサーバに対して問い合わせを行うことで、動的なアドレス取得を実現した。また、BINDの最新の実装であるBIND8を用いて、ダイナミックDNSの機能を利用することで、よりシームレスな連携が可能となる。しかし、実際には、サーバとなる計算機に対してDHCPによりアドレスを割り振ることは適当ではない。DNSのプロトコルアーキテクチャでは、キャッシュ情報がサーバの直接関知しないキャッシュサーバに残る可能性があり、データの有効期限を短くしてキャッシュサーバ上にデータが残らないようにする必要がある。しかし、この措置によりネットワーク全体としてのトラフィックが増大してしまう。DHCPによりアドレスを割り当てるような計算機をDNSに登録したいという要求が、その計算機でサービスを提供するという目的のためならば、DHCPを用いるのではなく、MobileIPを利用して、常に同じIPアドレスを利用しながら通信できる機構を用いる。この機構を利用すれば、計算機のネットワークへの接続点によらず、常に同一なアドレスを利用できる。MobileIPを用いた場合には、外部ネットワークに接続したサーバ計算機へのパケットの配送は、いったん通常のネットワークを経由して行われる。そのため、サーバとクライアント間でネゴシエーションが可能な場合は、気付けアドレスを用いて直接通信を行うのが望ましい。
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