研究概要 |
今年度,本研究により得られた成果は以下の通りである. 1. クライアントおよびサーバー間でMPEG画像の同期伝送を実現するため,クライアントにMPEGデコーダ,データバッファ,制御ブロックを配し,またサーバー側には,MPEGデータのシェーピングを行なうスケーリングブロック,データの転送ブロックおよび制御ブロックを配置し,それらの動作と相互の関係を定義した. 2. 1に基づき,ネットワークを介して伝送されるデータの量をフィードバック制御するため,その基本的手法を確立した.まず,ネットワークの伝送帯域,クライアントバッファのデータ量,およびクライアント側でデコード可能なフレーム数の3つを用いてフィードバック制御を行なう手法を開発した.また,サーバー,クライアントおよびルータから成るシミュレーション環境を計算機3台により実現し,このフィードバック制御手法の安定性の評価を行なった.この結果,ネットワークの伝送帯域の測定値には大きな誤差が含まれることがあり,これが同期確保に悪影響を与えることを確認した. 3. 2に基づき,安定な制御手法を確立するため,伝送帯域の計測値を直接に用いることなくフィードバック制御を実現する手法を検討した.具体的には,単位時間にクライアントバッファに出入りするデータ量とバッファレベルを監視し,バッファレベルが一定値に収束するようにデータ量をコントロールすることでフィードバック制御を行なった. 4. 前述のシミュレーション環境を用いて3.のアルゴリズムを評価した,その結果,提案するアルゴリズムは,ネットワーク負荷やサーバおよびクライアントのCPU負荷に対しても安定に動作し,ロバストな制御を実現可能であることが確認された.
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