研究概要 |
本年度は,偏波を用いたMUSIC法における伝搬遅延時間・到来方向の基礎実験,シミュレーションにより分解能特性の評価を行うとともに,MUSIC推定システムの試作を行った. 1. 偏波MUSIC法の分解能特性評価(計算機シミュレーション) 分解能向上に用いられているSSP,MSSP,PA-SSP,PA-MSSP等の信号相関抑圧アルゴリズムの2次元(到来方向・遅延時間推定)特性を理論解析し,SSP法では相関抑圧不可能な信号が存在し得ること,偏波を利用したPA法が最も効果的に動作することなどを明らかにした.また,SNR,素子数に対する分解能特性を評価し,PA(偏波平均化)手法の有効性を確認した. 2. 偏波MUSIC法の室内伝搬推定実験 ネットワークアナライザを用いた室内伝搬測定実験を行い,シミュレーション結果の妥当性を確認した.さらに到来波の偏波状態の推定結果を示し,これらが直接波,反射波の識別および伝搬経路の推定に有用であることを示した. 3. MUSIC推定システムの試作 伝搬環境の変動をリアルタイムに計測するシステムの実現に向け,FM-CW方式のシステムの試作を行った.今年度は2.45GHz4素子ダイポールアレーシステムを試作し,複素受信データ合成アルゴリズムの実装,および,システム校正法を確立した.さらに2波が入射するモデル実験を行い,1秒間に10スナップショット程度での動作を確認し,さらなる高速化に向け,システムの改良を加えている.
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