今年度は、以下のようなパラメータ推定および復元方法に関する考察と、計算機シミュレーションを行なった。 ・パラメータ推定の考察 これまでに、一様劣化画像のパラメータ推定法として用いてきた周波数領域で尤度関数を評価する方法を発展させて、画像中の各画素を中心とした矩形領域で、局所的な尤度関数を評価し、その積をパラメータ推定の評価関数とする定式化を行なった。その評価関数に対して、最急降下法を適用して、局大値を求めることにより、パラメータ推定を行なう方法を考察した。 ・復元方法の考察 劣化システムが非一様であるために、従来の復元方法は適用できない。そこで、MAP(最大事後確率)復元を基礎とし、計算時間などを考慮して、画像中の各画素を中心とした矩形領域で、ウィナーフィルタのような周波数領域での復元処理を行なう定式化を行なった。 ・計算機シミュレーション 計算機シミュレーションにより、非一様劣化画像を作成し、パラメータ推定と復元処理を行ない、良好な結果が得られることがわかった。ただし、残念ながら、パラメータ推定には、かなりの計算時間が必要であることがわかり、今後、パラメータ推定法の処理時間の短縮について、考察を行なう必要があることがわかった。 以上の本年度の理論的な処理方法に関する考察および計算機シミュレーション結果を、情報理論とその応用シンポジウム、電気関係学会関西支部連合大会、日本鑑識科学学会学術集会にて、口頭発表を行なった。
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