研究概要 |
マルチメディア通信を実現するためには,伝送帯域の確保の方法と,ネットワークのレスポンス特性が重要である.従来のイーサネット等に代表されるTDMA(時分割多元接続)に基づくLAN(Local Area Network)では,ビット当たりの伝送速度は高速である反面,伝送帯域の確保の手段がなく,また1局しか同時接続できないため輻輳時には急速にレスポンス特性が劣化してしまう欠点がある. 本年度の研究において、従来LANの例として、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)プロトコルに基づいたIEEE802.3-10base2方式をとりあげ、以下の点を解析的に明らかにした。 1. CDMA(符号分割多元接続)技術を適用し,同時接続局数を複数とすることで,輻輳時のレスポンス特性を本質的に改善できる。 2. ただし,ネットワークが低負荷のときの特性は相対的に低くなるため、低負荷のときはTDMAを使用し,高負荷になるとCDMAに切替えるという,CDMA併用型のプロトコルが有効である。 3. ネットワーク負荷が平衡状態であることを仮定できる場合について、TDMA方式との併用のための,具体的な通信パラメータを明らかにした。 4. 提案方式の適用例として、音声や映像等のストリームデータの中継器を提案した。 次年度では、提案する方式をLSIに実装し、実験ネットワークを構築し, 1. 輻輳時のレスポンス特性の改善の程度を実験的に示す 2. 伝送帯域の確保の最適な方法について結論を得る予定 である。
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