次の1〜2に従い研究を進めた。 1 コンプレックス通信プロトコルを指向した事例研究 コンプレックス通信プロトコルが備えるべき特徴として、予測されない入力に対する処理を作成する自己組織化の機能、外部環境からの入力変化に対する出力の追従性・予測性がある。次の(1)(2)を行った。 (1) 複数のメトリックを考慮したルーティング方式に関する研究 コンピュータネットワークにおいて、複数のメトリックを不用意に用いるとルーティングループが容易に発生するという問題がある。従来方式として、複数のメトリックを仮想的な1つのメトリックに変換して用いる方式、1つのメトリックのみを考慮して他のメトリックが満たされているかを総当り的に判定する方式があった。提案方式では、複数のメトリックをルーティングの途中で切替えることを可能にし、かつ、メッセージの宛先ノードへの到着も保証している。得られた結果は、外部環境からの入力変化に対する出力の1つの追従性を実現したものであると考えられる。 (2) 複数のマルチキャスト木を同時に考慮した予約方式に関する研究 マルチキャスト通信のための複数のマルチキャスト木に対する新たな予約方式を提案している。従来、単一のマルチキャスト木に対する予約法は提案されているが、複数の木に対するものはなかった。提案方式では、各ノードに複数のエージェントを設置し、エージェント間のメッセージ交換により複数のマルチキャスト木を効果的に求めることができる。 2 エージェントのインテリジェント化についての検討 上記(2)のエージェシトのインテリジェント化について検討した。このエージェントは制限があるものの自己組織化可能であり、コンプレックス通信プロトコルが備えるべき特徴の1つを実現している。
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