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1998 年度 実績報告書

非線形モデリングに基づく力学系の定常性の定量化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10750287
研究機関東京理科大学

研究代表者

池口 徹  東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (30222863)

キーワード非線形 / 非定常 / 力学系 / カオス / 定常性 / 時空間局所モデリング / 力学的定常性 / 検定
研究概要

本研究では,非線形力学系理論に基づく時系列解析を適用する際に必要となる定常性の成立という仮定を検定するための理論を確立することを目的とする.(1)力学系の定常性とは何か,(2)どのように定義すべきか,更には,(3)どのように定量化されるべきかという観点から解析する.最終的には,少なくとも実験的に,汎用性の高い,力学系の定常性基準を提案することが眼目である.そのために,本年度は,以下の項目から検討を行うことで,上記の課題に対するアプローチとした.
1. 力学系の定常性をどのように定量化するか.
非線形力学系理論に基づく時系列解析を用いる際には,得られた観測データがいわゆる「定常」な状態にあることが仮定として用いられる.この仮定に基づいて,非線形モデリングの一手法として,「局所線形近似」手法が,カオスなどを含む非線形性を有するデータのモデリング手法として有効である.
実際に計測される時系列信号には,上述の定常性の仮定が成立していないことがむしろ多いと考えられる.そこで,このような非定常な信号にも対応できる「時空間局所モデリング法」を提案した.次に,このモデリング手法に基づく解析により,対象とするデータの持つ非定常性を定量化することに成功した.
2. 力学系の定常性とはなにか.
次に,決定論的非線形力学系の存在を考慮にいれた定常性を定義するために,(弱)定常性を「平均が一定で,かつ,共分散が時間差のみの関数となる.」とする従来の定義に基づく定常性の検定手法では,非定常と見なされるデータを用いて,上で提案した「時空間非定常モデリング」を適用することで解析した.具体的な対象は,力学系の構造は全く変化しないのに,応答が間欠性カオスとなるために上記の従来基準では非定常とされてしまうデータを使用した.その結果,本研究で提案する定常性解析手法を用いると定常と判されること,従って従来の定常性の定義とは異なり,自然な形で力学系の定常性を議論できる可能性を示唆した.
現在,「力学系の定常性とはなにか」の項で示唆された結果を考慮にいれた力学系の定常性に関する新しい定義(力学的定常性)に関して,より定量的な考察を行っている.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Ikeguchi: "Detecting Nonlinear Causality via Nonlinear odeling" Proceedings of the Fourth International Symposium on Artificial Life and Robotics. 1. 94-97 (1999)

  • [文献書誌] T.Ikeguchi and K.Aihara: "Stationary versus Nonstationary Modeling for Nonlinear Time Series" Proceedings of 1998 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications. 2. 571-574 (1998)

  • [文献書誌] T.Ikeguchi and K.Aihara: "時空間局所モデリング用いた非定常・非線形データの解析" Technical Report of IEICE. 98. 11-18 (1999)

  • [文献書誌] 池口 徹,合原一幸: "実世界カオスとモデリング" 数理科学. 423. 56-61 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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