前年度においては、ユーザとネットワークのQoSに関する再交渉によって動的な帯域を割り当てる制御方式を提案し、その性能を数学的解析手法とシミュレーションによって評価を行った。本年度では、提案し計算機上で評価を行った動的帯域管理方式を実際のシステムに適応することを考え、その効果、有効性を確認した。 すなわち、本研究では、ATMネットワークにおいて、従来、単一リンクシステムを対象として提案されていた、トラヒックパラメータを用いてユーザ/ネットワーク間の再交渉を行う動的帯域管理方式を拡張し、より一般の形状を有するネットワークに適用した。管理方式として、管理センターの存在を仮定した集中型、および情報の交換によって帯域を決定していく分散型の帯域管理方式を提案した。それらの提案した帯域管理方式はシミュレーションによる評価を行い、その結果、提案した動的管理方式によって、ネットワークの利用状況にVP容量を適応させつつ、ユーザの効用を最大化するような帯域割り当てが可能であることを示した。特に、ユーザの公平性を考慮し、さまざまな公平性の考え方に従った帯域割り当てが実現できることを示した。
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