研究概要 |
現在,実際に使用されている心臓ペースメーカを使用して,PHS,携帯電話,アマチュア無線などから放射される電磁波がペースメーカの出力パルス波へ与える影響を測定した.アマチュア無線では,ペースメーカの出力が直流電流になり,パルス波が全く観測できない程の影響を与えることを確認した.また,携帯電話ではペースメーカの出力パルスが一周期ごとに欠落することを確認した.PHSも携帯電話と同様であるが,再現性が悪いため,影響の真否は現在調査中である.これらの測定結果をもとに,携帯電話用のマイクロストリップパッチアンテナの開発に向けてアンテナを設計,試作中である.設計するアンテナは,ペースメーカへの電磁波放射が行われないように,上方に向けてコニカルビームを形成するアンテナである. さらに,開発したアンテナの指向性測定を行うための新しいアンテナを開発,試作し,指向性および軸比測定を行った.このアンテナは直線偏波特性を有する従来のLPDA(Log-Periodic Dipole Antenna)を円偏波特性を有するように改良したものである.また,開発したアンテナのこれらの特性の理論計算を行い,実測値とほぼ同一の計算結果が得られることを明らかにし,開発したアンテナの実用性を明らかにした.このアンテナに関してはIEEEのEMC論文誌に投稿し,採録が決定しており,現在印刷中である. 今後は,コニカルビームを形成するマイクロストリップパッチアンテナの試作,指向性測定を行い,満足な指向性が得られているかを確認し,さらに,理論計算との比較,検討を行う.また,試作したアンテナを使用して,ペースメーカ出力のエラーがどの程度抑制されるかを検証する.
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