研究概要 |
本研究では、屈曲振動子周辺に生ずるエバネッセント音場が振動子の振動に大きな影響を与える性質を利用して、近接センサを実現することを目的としており、本年度の研究により以下の成果が得られた。 1. エバネッセント音場形成のための屈曲振動子の形状、及びその動作周波数の条件を理論的な解析より求めた結果、0.1mm厚のLINbO_3振動子を50kHz以下で駆動することにより、エバネッセント音場が形成されることが明らかとなった,また、LINBO_3分極反転板を屈曲振動子を用いることにより、電気信号で駆動可能な高いQ値を持つ振動子が実現できることがわかった。LiNbO_3分極反転屈曲振動子の作製方法を調査し、再現良いセンサの製作を開発した。 2. 検知対象物一屈曲振動子間距離による振動子の電気端インピーダンスの変化を測定した。その結果、検知対象物が屈曲振動子に近づくにつれて屈曲振動子の電気端インピーダンスが増大することが明らかとなり、近接センサとして利用できることが示された。 3. 様々な検知対象物を用いたときにどのように屈曲振動子の電気端インピーダンスが影響されるか調べた。その結果、本センサは殆ど検知対象物の依存性がないことが明らかとなった。また、屈曲振動子端部方向に生ずる音場において、検知対象物を近づけていった場合にも振動子の電気端インピーダンスが変化し、近接センサとして用いることができることが明らかとなった。この方法により近接を検知した場合には、約200μm程度以下の距離に検知対象物を近づけると再びインピーダンスが増加する現象が明らかとなった。
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