研究概要 |
本研究では,糖,NaClなどの体内の各種イオン,アミンなどの検出可能な光導波路型センサの開発を目的としている.本年度は主にNaClを対象として研究を行った. 本研究での光センサの原理は以下のとおりである.有機薄膜の膜電位は各種イオン,糖類などによって変化し,その変化量は検出物質の種類や脂質膜の種類に依存する.そこで,ここでは飽和脂肪酸とローダミン色素に長鎖アルキル基を付与した誘導体の混合LB膜を光ファイバーコア上に累積し,NaCl濃度変化による膜電位に伴うローダミン誘導体の蛍光変化を測定する事によってNaCl濃度を測定しようとするものである. 現在の研究結果として以下の事が確認された. 1. アラキン酸・ローダミン6G混合LB膜光ファイバはNaClによってその蛍光強度の変化が生じる.0.01mol/lから0.2mol/lの範囲で,濃度が高くなるに連れて蛍光強度も増すことが確認された.. 2. センサの安定性はあまり良くないが,ファイバコア表面にITOを付けコアークラッド間で接地を行うことによって,安定性の向上が見られた.また,接地によって感度の向上もあわせてみられた. 今後は安定性の向上とともにアラキン酸・ローダミン混合LB膜に各種イオン透過性分子を混入させて,イオン選択性を高める事やアミンなど他の体液成分への応用が求められる.
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