研究概要 |
BMIとは双線形行列不等式,すなわち一方の変数を固定するとLMI(線形行列不等式)となる行列不等式である.制御系の解析問題は代数操作によってLMIに帰着されることが多いが,解析問題がLMIで表現できるならば,対応する設計問題はBMIとなる.すなわちBMIは制御系設計問題の広いクラスを統一的に記述する能力をもつ. 本研究の目的は,制御系設計問題を記述するBMIを実用的な速度で解くアルゴリズムの開発およびその実装である.BMIの求解は非凸計画問題に帰着され,LMIの求解とは異なり一般にNP困難であることが知られているが,制御系設計問題を記述するBMIにおける変数の数は高々数十であり,実用的な速度での求解は可能であると考えられる. 本研究の現在までの成果は以下のとおりである:まずBMI求解アルゴリズムを開発・実装するために,オブジェクト指向プログラミングの手法を用いて,行列不等式の処理を支援するバーサ・ライブラリを,標準的な制御系設計支援プログラムであるMATLAB上で開発した.また,分枝限定法を用いたBMI求解アルゴリズムを提案し,変数の数が少ない場合に対して有効であることを示した.提案したアルゴリズムは有限時間で収束するものであり,最悪ケースの計算量を明らかにした.さらに,有限語長で実装可能なディジタル補償器の設計問題がBMIに帰着されることを示した.
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