研究概要 |
出力フィードバック形式の制御系は,構造の簡単さからより実用的な制御手法の一つとして注目されている.この出力フィードバック形式の制御系が構成可能であるための条件は,線形系ではASPR条件として知られており,非線形系では,出力フィードバックによるstrictly passive化条件,すなわち,Output Feedback Strictly Passive・(OFSP)条件に対応する.しかし,非線形系に対するOFSP条件はこれまで明らかにされていなかった. このようなことから,本年度の研究では,上述の非線形システムに対する定ゲイン出力フィードバックによる強受動化可能であるためのOFSP条件を明らかにした.さらに導出された条件を満足する非線形系のクラスが非常に狭い範囲のものであることから,導出されたOFSP条件を緩和するための補償器設計法の提案を行った.提案した補償器は並列フィードフォワード補償器(PFC)と呼ばれるもので,非OFSPな非線形システムをOFSP化するために導入されるものである.本年度の研究では、PFCの設計条件および具体的(組織的)な設計法の提案を行った.さらに,本年度の研究では,OFSP条件を満足する非線形システムに対する出力フィードバック形式の構造の簡単な適応制御系設計法の提案も行った.また,提案手法の有効性を種々の数値シミュレーションにより検証した.なお,これらの結果は,第19回適応制御シンポジウム(1999,1月)で発表している. 次年度は,非線形システムに対する出力フィードバック形式の適応制御計設計法に関して,PFC設計と平行して,PFCを用いない制御系設計法の検討も行う予定である.基本的には,申請者らが提案しているプラント次数に依存しない適応制御手法をある種の非線形システムへ拡張する.
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