研究概要 |
突起とスタッドを併用した鋼板.コンクリート合成部材の付着せん断システムの特性評価を,載荷条件の異なる下記の3種の試験法を通して,その特性に及ぼす載荷条件の影響を検討した.現時点で得られた成果を列記すれば、以下の通りである.なお,実験に用いた鋼板は板厚6mmのSS4000材の薄鋼板であり、また突起高さは市販のもの:1mm程度に比して大きい合成構造用鋼材を用いたため2.5mm以上である.なお,コンクリートは呼び強度30MPaを使用した. ●用いた試験法一覧: a) 自主開発した拘束圧制御式引き抜き試験(要素レベルでの2面直接付着せん断試験:以下,引き抜き試験と称す) b) 自主開発したはり曲げ試験(実践的部材レベルでの作用応力状態を考慮した付着せん断試験;以下はり曲げ試験と称す)ならびに c) スタッドの性能試験に慣用されている押し抜き試験(以下,押し抜き試験と称す) ●得られた成果: (1) 引き抜きならびにはり曲げ試験によるスタッドのみのずれ挙動は,従来の押し抜き試験法による成果からから提案されている作用せん断力-ずれ曲線と比して,柔な挙動を呈した.これはスタッド近傍の薄鋼板の局所曲げひいては接合面の拘束度が影響したものと考えられる. (2) 突起のみのずれ挙動は、いずれの試験でも先に代表者らが提案した算定付着せん断強度までずれを生じない剛な挙動を呈した.また,はり曲げ試験でのそれは,ずれ発生後,押し抜き,引き抜き両試験のそれと比して大きな鋼板の面外変形が発生することにより付着せん断応力の低下が著しかった. (3) 突起とスタッド1本を併用した場合のずれ挙動より,スタッドは付着せん断強度の向上に寄与しないものの,付着せん断強度到達後には,スタッド特有な柔なずれ挙動が反映され,付着せん断応力の低下の防止すなわち延性の向上が認められた. (4) 突起とスタッド1本を併用した場合の破壊形式は,一例を除き,前出の算定にて想定した突起前面でのコンクリートの局所圧壊による支圧破壊であった.
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