1. ほぼ同程度の規模(中央スパン100m程度)の鋼アーチ橋を対象として、戦前に建設されたものおよび近年建設され、デザイン的な評価がある程度高いものを選定して、図面などの関連資料を収集した。 2. 選定した橋梁の現地調査を行った。永代橋、忠節橋、豊田大橋、久澄橋、平成記念橋、辰巳新橋などである。現地調査では、アーチスパンの水平見込角が、5度、10度、15度、20度となる距離からの見え方の確認と写真撮影を行った。さらに距離による対象橋梁の部材の視認性を被験者数名によって、確認した。つまり、全体がシルエットで見えるといった状態から、構造部材の主要な形が見える、さらに接続部のディテール、汚れの状況などが見える、といった項目を設けて、それが確認できた距離を採取した。その結果、橋梁が立体的に見え始める距離や、細部への注目が集まり始める距離にある目処があることが把握された。 3. 写真撮影した橋梁の画像をコンピュータグラフィクスによって処理し、形態のシミュレーションを行った。例として、トラス部材斜材を消去したものや、接合部のプレートを消去したものなどの画像を作成し、その見え方の印象の相違を比較するとともに、評価実験に用いるサンプルの一部を作成した。 4. 以上本年度に得られたデータと材料をもとに、来年度は分析と評価実験を行い、その結果によって対象橋梁の補足を行いながら、構造形態と視覚的印象の評価手法を確立する。
|