本研究は一般に健全と見なされる岩盤の長期的挙動の安全性を巨視的、微視的両方の立場から明らかする。そこで均質化法を用いて、実験でカバーできない微視的領域(鉱物粒子レベル)の安全性を数値解析的に推測する。この手法は、巨視的構造(岩盤)が微視的周期構造を持つと仮定できると、その微視的構造の構造特性を反映した巨視的材料定数を与えると供に、微視的構造中の応力・浸透圧流等を把握が可能とする。現地盤に均質化法などの平均化手法を応用するには、微視的構造単位の決定が必要不可欠である。その必要性から、代表的な微視的構造およびその大きさを決定するプロセスを確立する。実際に岩盤から表面および内部の幾何構造を読み出すためのデータを収集し、その内部状態を把握する。 平成10年度の実績 岩塊(稲田花崗岩)表面の写真をもとに代表要素(REV)を抜き出すことを試みた。花崗岩は、一般的に石英、長石、黒雲母を造岩鉱物とするが、はじめに切り抜く枠(供試体)の大きさを変化させて、各鉱物の体積含有率を計算し、統計的にREVの大きさを求めた。つづいて、同様の手順のもとに、弾性係数を計算し、寸法効果の影響がなくなる要素の大きさをREVとして算出して考察した。さらに、均質化法を適用して全体構造の弾性係数を推定し、どの程度の要素を岩塊から切り出したら適当であるかを推定した。また、自動的にこの一連の作業を行うユーティリティの作成を行っている。
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