本研究では、粘土に対する最も基本的な構成モデルの一つである関口・太田モデルの基本的なコンセプトに対し、現象論的なコーナ理論を適用することにより、有限ひずみに対応した新たな弾塑性モデルを開発する。そして、開発した構成モデルを適用した粘土のバイファケーション解析を行い、その適用性と現象論的なコーナ理論の効果について検討するものである。平成11年度の研究実績は以下の通りである。 1.理論的アプローチ 関口・太田モデルの基本的なコンセプトに対する現象論的なコーナ理論を適用を行った。ただし、本年度は応力誘導異方性を考慮した異方モデルに対し、非共軸性の導入および現象論的なコーナ理論を適用を試みた。そして非共軸性が顕在化するようなパラメータを用い、バイファケーション解析を行っている。 2.室内試験によるアプローチ ひずみ経路制御ミニ三軸試験機を用いた間隙水圧降下型異方圧密試験を提案するとともに、その粘土の異方圧密挙動に対する適用性について検討を行った。本試験では、ひずみの解析精度がよく、また、供試体内部の応力およびひずみの均一性が大ひずみ領域においても保たれる。一連の実験から等ひずみ線に代表される異方圧密時の降伏曲面と非排水せん断時の降伏曲面は異なることが確認された。この結果に基づき、粘土の降伏曲面の異方性の発揮特性を議論した。
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