本年度の研究では、粒状体の破砕現象を実験的に明らかにするために、火山灰土で、脆弱な粒子からなるしらすを粒度調整して用い、圧密試験および一面せん断試験を行った。さらに、それぞれ試験前後の粒子形状の変化を顕微鏡観察し、粒子破砕現象について考察を行った。得られた知見を以下に示す。 1. 圧密試験において、緩詰め、密詰め試料ともに、比較的低い上載圧域で、圧密降伏応力を示した。また、しらすの粒子破砕量は、相対密度の増加に伴い、減少した。 2. 一面せん断試験において、緩詰め、密詰め試料とも、圧密試験で得られた圧密降伏応力よりも低い上載圧下では膨張挙動を示したが、それ以上の上載圧では収縮挙動を示した。 3. 一面せん断試験において、上載圧の増加により、圧密降伏応力以降、内部摩擦角は急激に低下した。 4. 圧密試験前後の粒子形状の観察結果から、供試体の初期状態に拘わらず、細粒分が増えるような、粒子の角がわずかに欠ける破砕の様子が認められた。 5. 一面せん断試験の粒子形状の観察結果から、緩詰めのしらすでは、粒子形状の変化はほとんどなく、細粒分が増えるような、粒子の角がわずかに欠ける破砕の様子が特徴的であった。 6. 一面せん断試験の粒子形状の観察結果から、密詰めのしらすでは、全体的に粒子破砕を生じ、上載圧の増加に伴い、多くの粒子が粉々に破砕する様子が認められた。また、粉々に破砕した粒子の多くは、せん断面付近に配置されたものであった。 次年度は、単粒子の破砕特性を調べ、今回の成果と関連性を調べていく。
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