研究概要 |
本研究は,今後地方分権化が進行する中で,地方自治体による合理的な地域経営実現のための,特に開発事業の実現性を確保した計画手法の開発を行うことを目的とする.そのために, )地方部における地域構造を適切に把握するための基礎モデルの開発,ii)事業実現性を確保した計画立案手法,すなわち事業実施スケジュールの最適化手法の開発を行う.そして,上記を統合した地域経営・財政シミュレーションシステムを開発し,その実用性について検討する. 平成10年度における研究成果を以下に列挙する. 1)地方部における地域構造を把握するための基礎的分析・データ収集を行った.具体的には滋賀県湖北地方を対象として,産業構造,居住地選択などの地域特性を把握した. 2)上記データから地方部における地域構造を表現するためのモデル開発を行った.モデルは地域内を複数のゾーンに分割し,各ゾーン間が道路ネットワークで結合された離散構造によって表現される.外生変数としては,各産業における外生需要,総労働人口,地域内総資本量,土地開発事業における開発面積,開発原価を与件とし,地域内の人口移動および居住地選択行動,就業構造,地価,開発利潤,税収を内生化し,財政シミュレーションを可能にした. 3)代替案ごとの事業実現可能性を検討するモデル開発を行った.このとき,事業実施スケジュールを検討するモデルの開発および解法アルゴリズムの検討を行った.2)および3)を連動させて取り扱うことにより,各代替案の動的な事業実施効果の予測が可能となり,開発スケジュールに対する影響因子の特定を行った.その結果,初期には地方債の発行高,そして時間を経るごとに周辺都市における都市計画ストックの上昇の影響が著しいことが把握された.
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