研究概要 |
本研究は,情報伝達形態の観点から街路イメージの定量的分析手法を確立するものである。平成10年度は、情報伝達形態という観点の整理及び,情報伝達の最小単位である個別の店舗を実証的に分析することを主眼においた.具体的にはこの情報伝達形態の観点の依拠する論理及び仮説を認知科学,行動心理学の知見より整理し明確にした.次に、街路の雰囲気や秩序感の認識過程を、認知心理学的,記号論的に考察し、そのイメージ形成段階及び景観特性認識における支配的要因を整理した。これを踏まえ、記号を屋号,店外直感記号,店内直感記号,店外論理記号の4つに分類し,各々の一階間口面積に対する該当記号の面積比として情報特性を求めるというイメージ計量手法を提案した。 つぎに、仙台及び特徴的な店舗データも勘案するため、東京の商業地(表参道,銀座通り,竹下通り,スペイン坂,センター街,新宿通り)でも現地調査を行い、店舗正面から写真を撮影した。これを基に、クラスター分析を行い情報特性による店舗分類を行った.一方,心理実験(分類試験・SD試験)を実施し,人が店舗をどのように分類しているか明らかにした.この分類試験の結果と計測した情報特性を照合した結果,提案したイメージ計量手法が概ね妥当であることを確認した.その際物販6,飲食8類型が存在することが明らかとなった.さらに各記号は,店外論理記号猥雑さを演出し,店外直感記号がそれを補完している点,店外直感記号及び店内直感記号の多さが親近感を演出している点,論理記号の多さが疎外感を演出していること等が明らかとなった.
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