研究概要 |
本年度の研究では,研究の第1段階として細密数値情報や自治体の発行するデータベース情報を用いて,都市施設や土地利用条件および環境資源等の地理情報システム情報データベースの構築を図るとともに,環境負荷の計測を予備分析として行った.さらに,環境資源の経済価値を評価するための方法論としてコンティンジェント価値法についての理論的な体系化,三河湾を対象としての実地調査を通じて,地域情報を用いて環境評価を行うための方法論の構築を図った.具体的な成果を以下に示す.(1) 地域環境情報の地理情報システムを用いたデータベース化 国土地理院の細密数値情報のメッシュ情報をラスターからポリゴンに変換するシステムを構築することによって,10mメッシュ単位での土地利用や施設立地などの地域情報をGIS上で分析するためのデータベースシステムを構築した.予備的な分析としてこれらのデータベースを用いて都市圏における「風の道」の分析や,緑地と水系のネットワーク分析を行った結果を論文として発表している. (2) 環境負荷の計測手法の構築 地域情報データベースを用いて都市構造物と都市活動から発生する環境負荷を評価するライフサイクルの算定システムを構築した.大阪市内の立地情報を用いて,都市構造物とそこでの活動に起因するライフサイクル環境負荷を算定する. (3) 環境評価の方法論の検討 ヘドニック価格法とともに社会的な関心を集めているコンティンジェント価値法について文献情報を通じて体系化を図り,WTPとWTAの測定や2段階2項推定法の実践的な適用を行い方法論についての検討をおこなった.
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