持続可能な消費行動様式への転換による循環形成効果の評価について、電子情報機器及び産業機械を対象として、解析をおこなった。 電子情報機器については、既製品の一体型PCを「従来型PC」と定義した上で、消費者は「従来型PC」と「アップグレード型PC」の2つを選択肢としてその一方を選択すると仮定し、「従来型PCを選択する/アップグレード型PCを選択する」という消費選択行動モデルとして、ランダム効用理論の考え方に基づく二項ロジットモデルを採用し、アップグレード型PCの消費者選択行動モデルの中で用いる変数のデータを、アンケート調査(配票調査法)により得た。分析の結果、ユーザーメイドPCの認知度及びアップグレードの知識・技術レベルが、ユーザーメイドPCの選択確率に大きな正の影響を及ぼすこと、適切なサービス・サポートが充分でないと、PCを使いこなす技術を持たない人がユーザーメイドPCを選択する確率が低くなることなどが確認され、消費者に対する製品情報の充足、消費者個人の技能の向上、保証等のメンテナンスサービスの充実が必要であるということが明らかになった。また、循環施行の産業コンプレックス形成におけるライフサイクル管理を評価する、多部門一般均衡モデルを提案した。製品連鎖均衡、回収リサイクル、消費者選択、再使用・更新の4つのサブモジュールからなるモデル構造を描き、PCのリバースロジスティクス、アップグレードPC製品の消費者選択、ガス給湯器の更新と省エネルギーの解析を通じて循環形成の鍵となる各モジュールの操作変数を抽出した。
|