地震時に大きな変形を生じる鋼構造建築を対象に、骨組の挙動と外壁の局所変形の関係を検討した。研究2年目の平成11年度は、主架構と外壁からなる鋼構造物の一般的な解析モデルを用いた弾塑性応答解析を行った。解析結果から、地震時に外壁取り付け部に生じる局所変形は、隣り合う外壁のぶつかりあいの影響を無視すれば、概ね骨組に生じる層間変形角と対応することが明らかとなった。 建築物に入る地震エネルギーを吸収するためには、骨組にはある程度以上の変形を許容する必要があり、特に制振部材などを取り付けることが困難な中小規模の建物では、強震下では1/50程度の層間変形の発生は避けられないことから、外壁の取り付け部は変形追従能力に富んだディテールとする事や、取り付け金具には剥離落下の防止のため、延性に富んだ鋼材を使用する必要があること、さらには、隣り合う外壁の間には1/50程度の層間変形の発生を見越したクリアランスを設けておく必要があると結論づけることができる。
|