地震および風荷重時の応答を低減し主体フレームの損傷を抑える方法として、特定の制震部材の履歴減衰を利用するものが効率的である。鋼製の履歴ダンパーには、応答を低減させる方法として、軸降伏型などがある。本研究では、せん断降伏型のダンパーに組み込まれるせん断パネルの一定振幅載荷実験を行いその疲労特性を把握する。また、一定振幅載荷実験結果を用いてランダム振幅疲労試験を行い、実働振幅に対する累積疲労損傷度について検討し、累積疲労損傷度を求める。それらの結果は以下である。 (1)局部ひずみの影響の考慮するため、せん断変形角1/50rad以上ではパネル部の最大主ひずみ範囲を、せん断変形角1/100rad以下ではR部のひずみ範囲を用いて亀裂発生寿命を示した。すなわち、せん断パネルの亀裂発生は破壊性状が異なっても亀裂発生箇所の歪で整理すると評価できる。 (2)せん断パネルの疲労寿命はせん断変形角範囲で評価することができ、本実験範囲内ではJSSCの疲労設計曲線S等級で安全側に評価することができる。 (3)ランダム波形に対してせん断歪範囲を用いて疲労強度を評価した場合、累積損傷値が1より大きくなる傾向を示している。また、地震については累積損傷度が1近傍を示した。
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