| 研究概要 |
硬化コンクリートは,表面から内部にいたり物性が異なることがこれまでの研究により明らかであり,表面のみの物性情報による推定であること,物理的根拠が示されていないことが,反発度法における問題点とされる.これらのことを鑑み以下のような実験を行った.
実験は,まず,打設時の外気温,セメント種類,日射,試験体の形状等による影響を考慮した10種類の大型モルタル試験体を用いて,表面から深さ5cmまでの反発度と吸水率の測定を行った.次に,感圧紙を用いてハンマーの打撃による塑性変形面積を測定し,塑性変形面積をエネルギー吸収量と仮定し,反発度との関係について検討を行った.実験より,以下のような知見が得られた.
1) 反発度及び吸水量の深さ方向分布
反発度は,深さ約3cmまで低下し,以深ほぼ一定値を示した.吸水率は,深さ約3cmまで増加し,以深ほぼ一定値を示した.反発度,吸水率ともに深さ方向の分布があり,両者には強い負の相関が認められた.従って,反発度は組織の緻密さの影響を受けるといえる.
2) 表面及び内部の反発度と強度性状との関係
表面の反発度と内部の反発度では,内部の方が,コアによる圧縮強度,弾性係数との相関が高いことが確認された.また,いずれの試験体においても相関は非常に高いものの回帰式は異なる.よって学会の規準に記されているように,推定を行う際,試験体の条件の違いを考慮して,予めコアを採取して圧縮強度試験を行うことが必要であるといえる.
3) 感圧紙を用いた衝撃エネルギー吸収量の測定
塑性変形面積をエネルギー吸収量と仮定して,反発度との関係について検討を行った結果,反発度と打撃によるエネルギー-吸収エネルギーには相関があることから,吸収エネルギーに影響を与える各要因を検討することで,反発度と硬化コンクリート表層部の物性との物理的関係を求めることが可能であると考えられる.
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