地下街、駅舎、地下駐車場などに代表される地下空間の利用が今後さらに活発になると予想されることから、これらの区画を互いに結ぶ連結部に代表されるトンネル状半閉鎖空間内で発生した火災を想定し、特に火源近傍の火災性状を工学的に表現しうるモデル構築を目的した。 実験は断面形状が馬蹄形(最大幅274mm、床面からアーチ頂点までの高さ244mm)および矩形(300(W)×300(H))の2種類を用い、全長は最大で10mの模型トンネルを用いた。また模擬火源として、プロパンを燃料とした一辺100mmの正方バーナーを模型中央に設置した。 まず、強制換気時の火炎長さおよび火炎の傾斜角度に関するデータを、測定した温度場の値を基にした等温度線図から収集した。特に火炎傾斜角度を2種類定義し、火炎の傾斜角度を決定する主変数となる熱気流を強制換気流の表現法として、質量流束および力(慣性力と浮力)を出発点とした。これに火源近傍性状(間欠火炎領域とプルーム領域)の関係を組み合せ、さらに傾斜した火炎の有効火炎高さの関係を代入することにより、火炎傾斜角度と発熱速度および換気速度の組み合せ変数との関係を導いた。導出したモデルと実測値との比較から実験定数を求め、モデル式を決定した。さらに、強制換気時の区画天井部に現れる最高温度上昇値と発熱速度および換気流速の組み合わせ変数との関係を導いた。 今度、遡上阻止限界流速と発熱量の関係、到達距離、および遡上した熱気流の厚み、温度減衰性状などの諸性状と発熱速度および換気流速との関係を明らかにしていく予定である。
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