1. 研究のはじめに当たり、現状の地域熱供給の動向調査と今後の普及に当たっての概念整理をおこなった。横浜、東京、福岡、高松における最新鋭の設備を調査し、技術的問題点、今後の普及ポテンシャルを検討した。 2. 今後熱供給システムが社会的なインフラストラクチャーとして成立するための条件を検討し、そこから、熱供給システムの評価指標の体系を再整理した。さらに、その計算手法に関して、電力原単位の扱い方、電力負荷平準化や都市廃熱の評価手法について改良をおこなった。 3. 今後の熱需要の中長期的な変動予測をおこなう準備として、研究室における既存のエネルギー消費量データを集計し、現状の大阪市における熱需要原単位を新たに作成し、これと床面積データから大阪市における現状の熱需要量と空間的・時間的分布特性を明らかにした。 4. 今後の熱供給システム関連技術に関して、清掃工場熱利用システムについて、タービンの種類による熱供給効率の変化を検討し、タービンに関する技術開発と、熱需要と工場を近接させた都市計画により熱電併給の大幅な効率の向上の図れることを明らかにした。また、将来技術としてガス化溶融炉に関してその技術特性を調査し、それに基づいて同システムが導入された場合の熱電併給効率の向上を大阪市の中心地区を対象にしたシステムシミュレーションにより定量的に明らかにした。
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