本研究では、従来の地理情報システムが持つGUI環境や操作性に加え、基本となるデータベースをパラメータとする数値解析により、環境・エネルギー情報を生成し、これを新たなデータベースとして、付加する解析システムをリンクさせた、環境GISシステムの構築を目的とする。 そのため、地理情報(GIS)や地域環境情報を総合的に捉え、これらを有効に活用した環境場の予測および地域エネルギーの活用可能性について調査を行った。 本年度は、既存の地図情報や気象観測データをはじめ、地域エネルギーや都市排熱情報などの種々の環境情報を分析し、これらを一元的な環境GISシステムとして構築を図った。 福岡県糸島地域において、1997年8月に実施した夏季熱環境実測の結果と、国土数値情報の土地利用データとを比較し、気温が低いほど自然被覆地の割合が高く、また、気温が高いほど人工被覆地の割合が高いことを確認した。 限定環境場の現況評価による最適開発地の抽出から熱環境シミュレーションに基づく開発計画案の最適化という一連のプロセスを開発し、GISを活用した統合型システムとして構築した。その結果、(1)地域開発レベルの計画支援ツールとしてのGISの活用、(2)未利用エネルギーの活用及び熱環境シミュレーションの定量的評価に基づく環境負荷低減型開発の計画立案が可能となった。 1998年7月からは、筑豊地域において長期の熱環境実測を行っている。
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