研究概要 |
本研究は居住人口の空洞化が著しい北海道内の地方拠点都市の中心市街地において、居住空間イメージを提示し、中心市街地の活性化方策の一部を明らかにしたものである。 まず、中心市街地の未利用地の計画条件を明らかにした。北海道内地方拠点都市の中心市街地は殖民区画に基づいて、間口5間奥行20間程度の規模の敷地割りがされている。小規模な敷地が2〜3区画集まって中心市街地に空閑地ができていることを明らかにした。 つぎに、それらの空閑地を含んで街区を整備するときの課題を3点明らかにした。1つ目は、駐車場の確保である。地方都市の中心市街地としては比較的容積が高い街区のネット容積率120%の場合、必要な駐車場面積は街区の45%にも達する。2つ目は、街区内の雪処理を軽減するための建築物の配置である。その方策として、(1)街路から集合住宅に入る敷地内の人と車の動線を一本化して短くし、除雪が必要な面積を減らすこと。(2)排雪せずに雪を堆積できる堆積スペースを確保すること。(3)大雪時の雪処理のために融雪槽を設置するスペースを確保することである。3つ目は、親しみのある通りをつくるために、街路沿いに中層の集合住宅を配置し、生活の表情が通りにでるようにすることである。同時に、店舗併用の集合住宅を計画する。 最後に、次の7つの空間整備の条件から,まちなか居住の空間整備イメージを街区レベルで明らかにした。(1)街区は基本的に中層住宅で構成する。(2)短冊状の細長い敷地を前と奥とで使い分ける。(3)短冊状敷地の前部に歩行空間を確保し、小さな公共空間をつくる。(4)生活の表情が出るよう住戸の開口部を中通りに向け、親しみのある通りをつくる。(5)短冊状敷地の奥側には駐車場を通りから隠れるように配置する。(6)雪を堆積できるスペースをつくる。(7)建築物の屋根は雪を堆積できるよう陸屋根とする。
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