本研究は、世界中を網羅でき、かつ非常に高い解像度の地理情報である『高分解能衛星画像データ』を利用して、都市空間における建物の配置状況を捉え、これを評価する方法と分析を示すことである。具体的には、第1に『高分解能衛星画像データ』から、建物の配置状況が把握できるデータを作成する方法について検討すること、第2に作成されたデータを用いて、建物の配置状況あるいは空隙の状況を評価する手法を考案すること、第3にデータを用いて、実際に様々な都市を分析することである。しかしながら、『高分解能衛星画像データ』の提供が当初の予定よりも大幅に遅れ、1999年商用で世界初の1m解像度衛星IKONOSが打ち上げられ、2000年3月にデータを入手できる運びとなった。したがって、今年度は、入手されるデータを想定して、建物の配置状況を評価する手法を考案し、代替データを用いた検討を行っている。 1.データベース作成についての想定 1)想定される『高分解能衛星画像データ』は、解像度1mのデジタルオルソ画像パンシャープンであるため、このレベルで建物の形状や配置が把握できるサンプルデータとして、1mメッシュの建物画像データが作成する。すでに、本研究室が所有する東京都の建物形状ベクトルデータより、23区内の4Km四方3地域について、1mメッシュの建物画像データ(各ビットの値は階数を示す)を作成した。 2)既存の分析指標の計測:画像データのサンプルを用いて、建蔽率や容積率といった既存の量的な指標の計測を行った。また、健蔽率や容積率、棟数密度など、建物に関する指標間の関係についても検討した。 2.データの解析手法に関する検討 作成されたデータベースを用いて、建物の配置あるいは空隙の形態を分析する手法を検討した。 1)空隙の定量的把握に使用された分析手法を、適当な形に改良して新たな分析手法とした。具体的には、建物に対する距離、角度、方位などをパラメータとして、建物と空隙の関係を把握するものである。 2)上記の結果について、視覚化する手法と定量的に解析する手法を検討した。 3.手法の適用 サンプルの画像データに対し、手法を実験的に適用し分析を行った。
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