都市近郊農村集落へのプレハブ住宅の侵入に着目して、都市近郊農村集落における住宅形式の変容の方向を探るために、下記の研究課題に取り組んだ。平成10年度は大都市近郊の農村集落に着目し、1994年の関西国際空港の開港に伴って都市化が進行している一方で、地域の伝統的な農村住宅形式が継承されている大阪府の泉州地域を対象にして調査をすすめた。 1. 農村集落の統計的特色と調査対象集落の選定 調査対象とする農村集落を都市化段階別に選出することを意図して、農村集落を1995年農業センサス集落カードから泉州地域11市町村の市街化調整区域内にある301集落を抽出し、農家率や販売農家率などの指標を用いて農村集落の性格を統計的に分析した。その結果、農業生産性が高い集落が多い泉佐野市内から、現地踏査の確認結果も踏まえて、農家率別に母山、下村、俵屋の3集落を選出した。 2. 農村住宅の住宅分布調査 1で選出した3集落内のほぼ全住宅414戸を対象に、母屋の外観形式および構造等の採取調査を行った。また、農家については附属屋についても同様の調査を行った。その結果、農家率の低い集落では集落の外縁部にプレハブ住宅が侵入していることが明らかになった。また、農家については集落の農家率の違いに関わらず母屋は地域の伝統的な農村住宅形式が多いが、附属屋についてはRC造などが増加していることが注目された。
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