近年、色素増感型光電池と呼ばれる色素修飾したチタニア(TiO_2)と白金電極を組み合わせた湿式の電池が注目を集めている。効率は研究室レベルにおける最高値でさえ10%と低く、寿命という点でもやや信頼性に欠ける面があるが、作用極・対極・電解質溶液・光増感材といった幾つもの材料の組合せによって様々な特性を持つ光電池を構成することができ、これからの可能性を秘めている。そこで本研究では、近年の表面処理技術やナノスケールセラミックス微粒子合成技術の発展の成果を取り込んで特殊な三次元構造を有するチタン酸化物系材料を電極に用い、単純なTiO_2-Pt系では得られない可視光応答特性を持つ湿式光電池の合成を試みた。研究の概要として以下の成果を得た。 (1)各種チタン酸の合成条件の確立 チタニア粉末を高温(150〜250℃)のKOH水溶液中で反応させることにより種々のチタン酸カリウムを合成した。同反応条件で金属チタン板を水熱酸化処理し、チタン酸薄膜の合成条件を確立した。反応はステンレス製オートクレーブを用い、層状4チタン酸カリウム、層状6チタン酸カリウム等の単一相の合成に成功した。 (2)各種チタン酸の薄膜化と電極の特性評価 上記の手法により合成した4チタン酸カリウムをガラス基板上に薄膜化し、光電極特性を調査した。
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