粒界すべりに及ぼす粒界上の液体分散粒子の影響についての研究の第一段階として、[001]ねじれ粒界を持つCu-B_2O_3合金双結晶の高温変形挙動に及ぼすひずみ速度の影響について、粒界すべりが発生し易い条件下で調査した。これは高温変形中にCu-B_2O_3合金で粒界破壊が顕著に起こったため、粒界上の液体分散粒子の影響についての詳細調査の前に、最適試験条件を知る必要となったためである。 Cu-0.149mass%B合金から、[001]ねじれ粒界を持つ3種類の双結晶をBridgman法により作製した。これらに、粉末パック法によりh内部酸化を施しCu-B_2O_3合金双結晶を得た。肩付引張試験片形状に切り出した。その際、粒界が引張軸に対して45°となるようにした。引張試験をInstron型引張試験機を用いて行い、破断ひずみ及び最大応力を測定した。引張試験は、真空中、673K〜1073Kの温度範囲において、初期ひずみ速度は4.2×10^<-5>〜4.2×10^<-3>s^<-1>で変化させ行った。破断後の試験片の破断面の形態及びB_2O_3粒子の分散状況を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。 ほとんどすべての温度、ひずみ速度において粒界破壊が起こった。温度上昇にともない破断ひずみは減少し、特にB_2O_3粒子が固体から液体になる800K付近で、破断ひずみが急激に減少する傾向が見られた。この傾向は、ひずみ速度の低下にともない顕著に現われた。さらに、ひずみ速度の低下にともない破断ひずみは減少し、高温における延性のひずみ速度依存性が認められた。粒界すべりはB_2O_3粒子が液体として振る舞う温度域で活発に起こるのが観察された。これより液体粒子は粒界すべりを全く抑制しないように見受けられた。
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