研究概要 |
鉄-クロム合金を高温酸化するとクロムの選択酸化により表面がクロムを多く含む保護性の酸化物に覆われて雰囲気との接触が遮断され,酸化速度は小さくなるが,保護性は永続せず,突然酸化速度が大きくなることがあり,これをプレークアウェーという。プレークアウェーは酸化物中に蓄積する成長応力によって引き起こされることが提案されている。本研究の目的は(1)外部応力下においてステンレス鋼を高温酸化し、生成した酸化物の組成を測定することによってプレークアウェー感受性が変化するかどうかを検討すること(2)成長応力を緩和するといわれている希土類酸化物をコーティングしたステンレス鋼を外部応力下において高温酸化し、ブレークアウェー感受性が変化するかどうかを検討することの二点であり、平成10年度は(1)の検討を行った。 外部応力下での高温酸化実験装置は市販品が得られず、年度当初より設計・製作に着手したが、酸化初期の保護性酸化物成長段階における酸化挙動,酸化物の特性を評価するため、毎秒100K程度の急速加熱が可能な装置を所望したところ、設計には種々の克服するべき課題があり、製作完了までの期間は予定より長くなり約6ヶ月を要した。 現在、試運転を完了し、最高50MPa/cm^2の応力下で1273Kにおける酸化実験を開始し、(1)酸化速度に対する外部応力の影響、(2)酸化物の断面形態と組成に対する外部応力の影響を検討している。
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