研究概要 |
浮遊液滴振動法を用いてSi融液の表面張力を測定するとともに,静滴法を用いて溶融SiによるSiO_2およびBNの濡れ性の測定を行った.浮遊液滴振動では,地下無重力実験センターの施設を用いて微小重量環境で純Siの表面張力の測定を行った.これいより,融点以下の1200℃から1650℃までの広い温度域で表面張力を測定が行え,非常にバラ付きの少ない結果を得ることができた.こでは,他の手法では表面張力の値を算出する際にバラ付きの大きい密度の値をするが,本手法ではバラ付きの小さい質量から算出できるためであると考えられる. 溶融SiとSiO_2との間の接触角はこれまで約90〜95°の報告がなされていたが,本研究で真の接触角は80°以下であることがわかった.これまでの報告値が大きいのは,SiとSiO_2の界面でSiOのガス相が発生することにより,みかけの接触角が平衡状態の値と異なっていることに対して十分な配慮がなされていなかったからである.ただし,実操業のシュミレーションで使用する値としては95°が望ましいこともわかった. 溶融SiとBNとの接触角は約115°であった.この系は固液界面において激しい化学反応が起こらないため,接触角の経時変化は観察されなかった.また,液滴は安定して存在し接触角も90°より大きいため,静滴法で溶融Siの表面張力を測定するためには優れた組み合わせであることがわかった.得られた表面張力値はほぼ浮遊液滴法で得られたものとほぼ同じであったが,バラ付きは大きかった.
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