研究概要 |
摩擦圧接法は,片方の部材を固定し,相手材を数千rpmで回転させながら押しつける接合法である.数秒で接合面の温度が高温に達し,短時間での接合が可能である.それゆえ,異種金属材料の接合に非常に有効な手段である.この圧接時には100〜200MPaの圧力を加えるために,材料は高温強加工状態となる.そこでアルミニウムとステンレス鋼の摩擦圧接界面近傍を観察したところ,アルミニウムの結晶粒が微細化することが明らかとなった.そこで本研究では,この摩擦圧接界面近傍でのアルミニウムの微細化に注目して,圧接条件および位置の違いによるアルミニウムの組織変化を検討した.またこの高温強加工プロセスを利用し,アルミニウムの微細化をめざした. 用いた材料は工業用純アルミニウムA1050とオーステナイト系ステンレス鋼SUS304である.摩擦圧力,回転数,アプセット圧力,アプセット時間は一定として,摩擦時間t_1のみ変化させた.圧接界面においては各元素が相互拡散しており,おもにFe_2Al_5の反応層を形成していた.t_1=0.1sの場合,界面極近傍において中心部で1μm以下の結晶粒に微細化されていた.外周部はそれよりも若干大きな結晶粒となっていた.これは外周部の方が温度が高いためと考えられる.またt_1=1.0sの場合は,結晶粒が若干成長していた.これらの結果から圧接条件を適切に選定することにより,アルミニウムの結晶粒を1μm程度まで微細化できることを明らかにした.
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