研究概要 |
アルミニウムおよびその合金とステンレス鋼を摩擦圧接によって接合した.アルミニウムは摩擦による発熱と高圧力によって非常に大きな変形を与えられる.そのために圧接界面近傍のアルミニウムは非常に微細化されることがわかった.摩擦時間を0.1sとしたとき,結晶粒径は約1μmまで微細化された.摩擦時間が長くなるにつれて,結晶粒は粗大化した.この微細化は摩擦過程で強加工を受け,アプセット過程において動的再結晶が進むことで起こることを明らかにした.またこのような激しい摩擦が界面に生じることで,ステンレス鋼とアルミニウムが機械的に混合され,界面にアモルファス相が生じ,その後,安定な金属間化合物Fe_2Al_5に相変態していることを明らかにした.この反応層は摩擦時間が増加するとともに成長した.継手の強度は摩擦時間の増加とともに増加し,さらに摩擦時間が長くなると低下した.反応層は界面全体に数百nmの厚さで均一に生成しているときに,もっとも継手強度が高く,アルミニウム合金側で母材破断する良好な継手が得られた.接合は温度上昇の早い外周部から中心部に向けて進行していくことを電子顕微鏡,超音波顕微鏡,電気抵抗測定によって明らかにした.これまで経験的に行われていた摩擦圧接のプロセスを明らかにすることができた.
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