【微細藻類の性状】淡水性緑藻Chlorella pyreenoidosaの培養を行い、増殖フェーズによる藻体径の経時変化を測定した。細胞数濃度と吸光度を用いて細胞量を測定した結果、両者において増殖フェーズにずれがみられることがわかった。培養の後期において細胞数濃度が一定に達した後も吸光度は増加した。この間、細胞径が増加しており、吸光度が一定になった後、細胞径は一定値(平均径4.4μm)をとった。よって、この細胞径が変化しない時期を静止期とし、この時期の藻体を用いることで、電気浸透実験に供する藻体の性状を一定に保つことが可能となった。 【表面電荷特性】藻体の表面電荷状態は凝集分散状態と密接な関係をもつ。pHに対する藻体の凝集分散状態を沈降法により測定した。pH4以下で藻体は凝集し始め、pH3からpH2において藻体の凝集が大きく進行した。藻体の等電点はpH3〜pH2において存在すると推測される。現在、凝集に影響する電荷を特定するため、酸の種類が凝集に及ぼす影響を検討中である。 【電気泳動速度の測定】μmスケールの藻体の真の電気泳動速度を測定するため、垂直型キャピラリー電気泳動装置を製作した。均一な径(平均径2.3μm)をもつSiO2粒子を用い、本装置で粒子の真の電気泳動速度の測定が可能であることを検証した。粒子とキャピラリー径との相対的大きさおよび電場強さを変化させた実験において、相対径25倍以上では粒子の泳動速度はキャピラリー壁に影響されず、電場強さに比例した。また、電場強さがゼロでの泳動速度は粒子の沈降速度とほぼ一致した。以上より、本装置を用いてμmスケールの粒子の真の電気泳動速度の測定が可能であることが確認された。今後、藻体の真の電気泳動速度の測定を行い、pHに対するζ電位の変化を明らかにする予定である。 【電気浸透脱水実験】アクリル製円筒型電気浸透脱水装置を製作し、圧力濾過と電気浸透脱水の比較を行った。電気浸透脱水により脱水所要時間は1/3にまで短縮され、回収藻体の含水率は低下し、ほぼ固形状での回収が達成された。
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