本研究はダイオキシンの前駆物質である未燃炭化水素の廃棄物流動層燃焼からの排出低減を目的としている。無機多孔質粒子には比較的高温で炭化水素を細孔内に保持する、いわゆる「容量効果」があることが前年度の研究で明らかになった。本年度は、このような粒子を流動媒体として流動層燃焼した時に実際に未燃炭化水素が減少するかどうかを明らかにするとともに、NOx生成に及ぼす多孔質粒子の影響を明らかにすることを目的として実験を行った。 アルミナを主成分とする無機多孔質固体を試料として用い、固定層反応器を用いてHCN酸化への触媒効果を調べたが、生成物の主成分はNOxであった。 次に 内径5.4cmの小型流動層燃焼装置内に多孔質粒子を充填して、電気炉で所定の温度に加熱しつつ装置下部から空気を供給して流動化させ、その中にプラスチックまたは含窒素廃棄物を模擬したものとして褐炭を投入して燃焼を行い、排ガスを分析することで多孔質による未燃焼分低減効果を定量的に評価した。対照実験として、緻密な砂を流動媒体に用いた実験を行った。その結果、多孔質粒子未燃分低減効果があることが流動層燃焼でも見られた。 N0x 排出に対してアルミナ系多孔質粒子は、揮発分を放出している時にはN0x排出を増加させたが、チャー燃焼時にはかえってN0x排出を低減する役割を示し、全体としてN0x排出は多孔質粒子と砂でほとんど同じになった。
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