研究概要 |
酸素12員環の3次元細孔構造を持つBEA型ミクロ多孔性結晶のシリカおよびメタロシリケートのフッ素イオン共存下での合成を検討した。BEA型シリカは出発ゲル組成を1.0TEOS:0.5TEAOH:0.5HF:xH_2O:yC_2H_5OHとし、Si源のテトラエチルシリケート(TEOS)と鋳型剤の35%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)水溶液を混合撹拌後、60〜80℃で加熱処理し、さらに47%HF水溶液を加えた後、オートクレーブ中、140〜200℃で結晶化させた。BEA型メタロシリケートは、金属アセチルアセトナートをエタノールに溶解後にTEOSと混合し、以後同様の方法で水熱合成した。BEA型シリカの合成で、TEOSとTEAOHの混合後に加熱処理を行わないと、結晶性の生成物は得られなかった。一方、60℃で2h加熱した場合には、結晶化温度140℃,12日の水熱合成で粒径数十μmのBEA型シリカが単一相で得られた。結晶化温度を上昇させると結晶化時間が短縮でき、180℃まではBEA型シリカが単一相で得られたが、200℃ではMFI型が生成した。加熱処理を80℃,24hとした場合、140〜200℃の結晶化温度でいずれもBEA型シリカのみが得られ、ゲル中に含まれる水とエタノールを十分に除去することで生成温度域が拡大した。メタロシリケートの合成では、TEOS-TEAOH混合溶液にエタノールに溶解したアセチルアセトナートを添加すると透明なゲルが得られ、この方法でAlの場合はSi/Al仕込み比が∞〜20、またFeの場合はSi/Fe仕込み比が∞〜50の広範囲でハイシリカなBEA型メタロシリケートが合成できた。Co,Ni,Crの場合もBEA型の生成物が得られたが、焼成後の試料のUV-Visスペクトルに6配位状態のイオンによる吸収がみられ、BEA骨格への同型置換はできなかった。
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