研究概要 |
1. セラミックスの抗菌活性の速度論的解析 セラミックス粉末としてMgOを用いて、大腸菌に対する死滅速度定数および殺菌濃度指数を決定した。大腸菌の死滅過程は、一次反応速度式で表すことができ、濃度依存性を示す指標である殺菌濃度指数は0.35と求められた。また、温度によりMgOの殺菌効果は著しく影響を受け、アレニウスプロットからは、細胞膜の流動性が変化する温度域で、不連続になること見出し、細胞膜の流動性と抗菌活性が関連していることが分かった。 2. セラミックスの抗菌活性に及ぼす添加物の影響 セラミックス(MgO)の抗菌性に対する、各種添加物(糖類、塩類、脂質、タンパク質)を加えた際の殺菌実験を行った。グルコースおよびマルトースは殺菌効果を減少させたが、多糖類である澱粉は、殆ど影響を及ぼさなかった。一方、金属イオン(Na,Ka,Ca)の存在は著しく殺菌効果を増大させたが、Mgのみその効果は認められなかった。また、脂質および蛋白質はMgOの殺菌効果を低下させた。 3. 当初、来年度の予定であったが、液相合成により、形状・結晶性の異なるZnO粉末を合成し、その抗菌活性をコンダクタンス法により測定した。その結果、ZnOの形状および結晶性は殆ど抗菌活性に影響を与えず、粒径および比表面積に強く依存した。また、ZnO-MgOの混合物および固溶体の抗菌活性についてもコンダクタンス法により検討した結果、ZnOにMgOを混合あるいは固溶させることは、抗菌活性の低下をももたらすことが明らかとなった。 来年度は、CaO-ZnO、またMgO-CaOの混合物および固溶体の抗菌特性に関して検討する予定である。
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