本年度は、プロトン導電性酸化物としてSrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_<3-α>を用い、アルゴンガス中の水蒸気の電気化学的除湿について検討を行った。作動温度およびガス流速などの条件を最適化するために、水蒸気分圧0.33Torr(1Torrは1.3x10^<-3>気圧)とある程度水分を含んだアルゴンガスを用いた。ガス流速30ml/minにおいて、600℃〜800℃の作動温度を試みた結果、作動温度が低いほど電流に対する除湿効率が大きいことが分かった。6000℃においては20mA/cm^2程度の小さい電流で0.10Torrまでガスを乾燥させることができた。これは、作動温度が低いほど、電子電導が小さく押さえられるためであると考えられる。しかしながら、600℃以下の作動においては、大きな電圧を必要とし、700℃の作動が適当な条件と判断された。一方、700℃において、ガス流速15〜60ml/minのアルゴンガスの電気化学的除湿を試みた結果、ガス流速が小さいほど出口ガス中の残留水蒸気分圧が小さくなることがわかった。これは、実験を行ったガス流速の範囲において、本除湿プロセスが電極への水蒸気の拡散に律速されていることを意味し、現状ではガスの流速を小さくする方が有利であるという結果になった。しかしながら、現在、電極として多孔質白金電極を用いており、その微細構造、及び電極材の検討によって、大きなガス流速において除湿特性を改善できると考えられる。 以上の検討により、電解質にSrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_<3-α>を用いて電気化学的除湿を行った場合、作動温度としては除湿効率と消費電力の関係から700℃程度の作動温度がよく、また、より大きな流速のガスの除湿効率を向上させるために、電極に何らかの改善が必要であることが分かった。
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