量子サイズ効果を示し半導体ナノ粒子を規則的に配列させることにより、ナノ粒子間に電気的な相互作用が生じ、個々の半導体ナノ粒子とは極めて異なった光電気化学特性が発現すると期待されている。本研究では、昨年度の研究においてすでに作製法を確立しているDNA二重鎖をテンプレートとした一次元CdSナノ粒子アレイ(CdSアレイ/DNA)について、その光電気化学特性を評価した。CdSナノ粒子表面を(2-メルカプトエチル)トリメチルアンモニウムで化学修飾することにより、粒子表面に正電荷を有するCdSナノ粒子を調製した。CdSアレイ/DNA固定電極は、(2-メルカプトエチル)トリメチルアンモニウムの自己集合膜を形成させた金電極を、DNA(子ウシ胸腺)溶液およびCdSナノ粒子溶液に交互に浸漬することにより、電極表面でCdSアレイ/DNAを形成・積層させた。調製したCdSアレイ/DNA固定電極を用いて光電流-電位曲線を測定したところ、アノード光電流が観察され、その立ち上がり電位は-1.3V vs SCEであった。光電流のアクションスペクトルを測定したところ、溶液中のCdSナノ粒子の吸収スペクトルと良い一致を示し、CdSナノ粒子が光増感剤として働いていることがわかった。さらに電極上へのCdSアレイ/DNAの積層回数を増加させることにより見かけの量子収率が直線的に増大したことから、DNAおよびCdSの各溶液に浸漬を繰り返すことによりCdSアレイ/DNAが電極上に積層され、さらに固定されたCdSナノ粒子が光電気化学的に活性であることが分かった。
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