研究概要 |
1 ゲル電解質の基本特性の把握と合成条件の確立 ポリマーマトリックス(ポリフッ化カーボン,ポリイミン),有機可塑剤(ブチロラクトン系,カーボネート系),ならびに電解質塩(四級アルキルアンモニウム塩)からなるゲル電解質を合成した。得られたゲル電解質の基礎的な電気化学特性を計測し,電気二重層キャパシタ(EDLC)に好適な系を探索した。すなわち,プログラム精密低温恒温水槽(本研究費補助金による購入設備)による温度制御下,-20〜80℃の範囲でイオン伝導特性と安定電位領域を測定した。この結果,マトリックスとしてはポリフッ化カーボン,可塑剤としてはプロピレンカーボネート,電解質塩としてはテトラアルキルアンモニウムテトラフルオロボレートが最適であり,これらを用いた場合,高いイオン伝導度と4V以上の広い安定電位領域が確保できた。すなわち,好特性なゲル電解質の絞り込みが行えた。 2 ゲル電解質/電極界面の最適化 1の検討で選定を行ったゲル電解質をEDLC用電極(活性炭繊維布電極)と接合させ,インピーダンス計測システム(現有設備)を用いて電極界面特性を検討した。すなわち電極界面抵抗,電気二重層容量について解析を行い,EDLC特性を左右するこれら重要因子を把握した。 様々な検討の結果,活性炭からなる電極材料の表面処理が界面特性向上のために効果的であることが判明した。そのため,表面処理の基礎条件確立のために,通常の溶液系において処理効果の確認を並行して行った。以上の検討により,界面特性向上のためには,ゲル電解質の最適化,電極表面の改質の両方が極めて重要であることが判った。
|