液相析出法(LPD法)によって作製された酸化物薄膜について固体電解質としての適応を図るため、酸化ジルコニウム薄膜を液相析出法により作製した。H_2ZrF_6の水溶液に金属アルミニウムをフッ化物イオン捕捉剤としてを用い、ジルコニアの安定化を図るためにYCl_3水溶液をEDTAで安定化させたものを添加した。基板にはα-Al_2O_3多結晶板を用い、24時間、30℃にて析出を行った。Yイオンの初期添加量は1-4 mmoldm^<-3>とした。その結果、Y/Zr比は0.05-0.2となり、Yイオン添加量に依存した。電気伝導度測定の測定には、Y/Zr=0.08及び0.10のものを用いた。膜厚は80-100nm程度に調整し、測定温度1100-1300K、窒素ガス気流中にて4端針4端子法により測定を行い、比伝導度を算出した。測定開始前には1300Kで2時間保持し、その後、50Kごとに降温しながら測定を行った。その結果、Y固溶量が多い試料ほど、低温においても電気伝導度が高く、LPD法によって作製された薄膜においても電気伝導が認められることが明らかとなった。電気伝導度は現在の所最終的に、電気伝導度はlog(σ/Scm^<-1>)は-5.8 at 1300K から -6.7 at 1100Kであった。また、1200K付近において、log σ - 1/T プロットで、急激な伝導度の低下を示す屈曲点があった。これは、屈曲点以下の温度領域において、Y^<3+>と酸素イオン空孔が会合、クラスター化し、伝導種の減少、内部摩擦の増加等に起因するものと考えられる。これらの温度依存性については、現在、詳細な検討を継続している。
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