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1999 年度 実績報告書

液相析出法(LPD法)により作製した多相系金属酸化物薄膜の電気伝導物性

研究課題

研究課題/領域番号 10750605
研究機関神戸大学

研究代表者

水畑 穣  神戸大学, 工学部, 助手 (10283871)

キーワード液相析出法 / 電気伝導度 / 安定化ジルコニア / 金属フッ化物錯体 / 固体電解質 / 酸素イオン空孔 / ランタン / 導電性薄膜
研究概要

水溶液中からの遷移金属酸化物薄膜の合成法である、液相析出(LPD)法を用いて、ジルコニアに希土類元素(Ln=Y、La)を添加し、ジルコニア薄膜の安定化及び得られた薄膜の伝導性材料への応用の可能性を検討した。
ZrO_2薄膜の製膜には、H_2ZrF_6水溶液にフッ化物イオン捕捉剤として金属アルミニウムを浸漬した水溶液を用いた。ここに、Laイオンの安定化のためにEDTAとLnCl_3(Ln=Y、La)を1:1の比で混合し、Ln-EDTA錯体とした水溶液を添加し、処理溶液とした。この処理溶液中に基板を垂直懸下し、30℃で所定時間静置反応させた。反応後、Y、La系とも基板上に白濁した薄膜を得た。希土類元素の初期濃度が高くなるに伴い凝集粒子サイズが小さくなっていく傾向が確認された。これは、希土類元素の濃度が高くなるとZrO_2薄膜の析出が阻害されるため、核生成段階での反応が抑制されたためと考えられる。Y-Zr系におけるYCl_3の初期濃度を変化させた際のX線回折パターンより初期濃度が増加するに伴ってZrO2薄膜中に含有されるY濃度が増加し、ジルコニアの結晶構造が安定化されており、薄膜の組成は、出発原料の初期濃度を変化させることにより制御が可能であることが明らかとなった。
電気伝導度測定の結果、Y^<3+>、La^<3+>のどちらの系においても希土類元素の初期濃度が増加するのに伴い、また焼成温度が高くなるに伴い薄膜の抵抗率は減少することが明らかとなった。また、希土類元素の初期濃度を一定とし、反応時間を変化させた際の伝導度は、反応時間が長くなるに伴い低下することが明らかとなった。また、SEMの断面観察の結果より、反応時間が長くなるにしたがって、薄厚が増加することが確認された。これは、一定膜厚以上ではクラックが生じ伝導経路の切断が生じたためと考えられる。これらの結果より、液相析出法によって、希土類元素を含む導電性薄膜の合成が可能であることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Shigehito Deki: "Preparation of Composite Oxide Thin Films Containing Rare-Earth Elements by the Liquid-Phase Deposition Method"Extended Abstracts of JSPS International Workshop on Design and Soft Solution-Processing for Advanced Inorganic Materials. 133-135 (1998)

  • [文献書誌] 出来成人: "液相析出(LPD)法による機能性酸化物薄膜の合成"神戸大学産官学技術交流会予稿集. 18-20 (1999)

  • [文献書誌] Shigehito Deki: "Preparation of hetero-structured oxide thin films by liquid-phase deposition(LPD)"Trans.MRSJ. 24・1. 109-112 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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