t-C_4H_9MgBrおよびt-C_4H_9Li/(n-C_4H_9)_3Alを開始剤としてメタクリル酸メチルの重合を行い、得られたイソタクチック(it-)およびシンジオタクチック(st-)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)リビングアニオンにヨウ化アリルを反応させ末端にアリル基を導入したのち、9-BBNを用いてヒドロボレーション/酸化反応を行うことで、末端に水酸基を有する立体規則性PMMA(PMMA-OH)を合成した。 末端基導入率は90%程度であった。PMMA-OHを超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)で重合度別に単離し、重合度に分布のない「均一ポリマー」を得た。 均一PMMA-OHを50℃で5日間フタル酸ジクロリドの3種の異性体(o-体、m-体、p-体)と反応させ、SFCで反応混合物からカップリング生成物を単離し、分子鎖中に折れ曲がり構造を有する均一PMMAを得た。 テトラヒドロフラン中40℃で、サイズ排除クロマトグラフィー差圧粘度計(SEC-VISCO)を用いて、溶出体積ならびに固有粘度[η]を測定した。同一分子量での[η]はit-体の方がst-体より大きく、溶液中での広がりが大きいことが明らかになった。同じ立体規則性、分子量では、o-体、m-体、p-体の順に溶出体積が小さくなり、[η]が大きくなった。連結ユニットの構造がポリマー鎖全体の流体力学的な体積に与えることが明らかになった。
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