本研究では、マイクロメートルサイズのゲルを用いてゲル中の空間的不均一性を規定したゲルの調製・測定を行い、体積相転移挙動や膨潤挙動など巨視的ゲルの性質にミクロスコピック・スケールの不均一性がどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的としている。ミクロスコピックゲル内外の構造に差を持たせることにより空間的不均一性を規定したゲルを調製する必要があるために、まず、意図せぬ不均一性がないゲルの調製を行うことを目指し、両末端反応性高分子であるhydroxy terminated poly(ethylene-butylene)copolymerを準濃厚溶液状態で3つの反応性基(isocyanate基等)を持つ架橋剤を用いて反応を行った。このゲルの静的光散乱測定を行ったところ、散乱強度は溶液状態で見られる散乱強度に近く、通常の高分子架橋ゲルに見られる不均一性にくらべきわめて小さな空間的不均一性を持ったゲルが調製できていることが明らかとなった。また、ミクロゲルを調製する方法として、サスペンジョン法とミクロエマルジョン法を試したところ、サスペンジョン法では、高分子および架橋剤の濃度が非常に高いときにのみにしか、サイズのそろったミクロスコピックゲル(〜1μm)の調製を行うことができなかった。一方、ミクロエマルジョン法では、界面活性剤の添加が必要ではあるが、比較的均一なミクロスコピックゲルの調製を行うことができることが明らかとなった。今後は、後者の方法を用いて調製したミクロスコピックゲルおよびそれから調製したマクロスコピックゲルを用いてその体積相転移挙動・膨潤挙動などをしらべることによりゲルの不均一性に関する検討を行う予定である。
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