本研究では、サブマイクロメートルサイズのゲルを用いてゲル中の空間的負均一性を規定したゲルの調製をおこない、膨潤挙動などの巨視的なゲルの性質にミクロスコピック・スケールの不均一性がどのような影響を与えるかを明らかにしようとした。まず、両末端にアリル基を有したポリイソブチレンを両末端反応性高分子として用いて、ヒドロシリル化反応を用いて、準濃厚状態でマクロサイズのゲルを調製したところ、平均強度は、溶液状態における強度とほとんど同じであり、通常の架橋高分子ゲルにみられる不均一性にくらべてきわめて極めて小さな空間的不均一性を持つことがわかった。超音波照射を行いながらミクロエマルジョン法を用いることによってミクロスコピックゲルの調製を行いサブマイクロサイズ(100〜500μm)のゲルの調製を行った。動的光散乱測定により、このゲルはエタノールなどの溶媒中では収縮、トルエンなど溶媒中では膨準状態になり、溶媒組成の変化により連続的に収縮から膨準に変化することがわかった。反応前の両末端高分子溶液にこのゲルを10%〜50%添加して、系内の高分子濃度が海島状の不均一性を持ちそして海(マトリックス)と島のサイズおよび高分子濃度を規定したマクロサイズのゲルを調製しその膨潤度・膨潤速度を調べたところ、これらの性質は高分子濃度の高い島の部分よりも高分子濃度の低いマトリックス部分の性質により大きく支配されていることがわかった。
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