本研究目的は、トンボの羽ばたき運動をモデル化し、ホバリングする羽ばたき機を製作して、羽ばたきの数値シミュレーションの結果を検証し、トンボに見られるようなホバリングのメカニズムについて解明することである。 今年度の研究計画は、トンボの翼をモデル化し、さらに翼の上下振動とピッチング振動をモデル化して、上下振動とピッチング振動が連成して運動をするような羽ばたき機を設計・製作することであった。 実際のトンボの羽根の運動は、スパン方向の各位置でのピッチング振動が異なるが、先ず、剛性の高い二次元平板を強制振動させる場合と同じ扱いにして設計した。翼の上下振動およびピッチング振動は、モータを使用して固有振動数および固有振動モードを考慮して機械的に振動を与える。翼の大きさは、トンボの約4倍のスケールで考えモデル化し、200mm×40mmの矩形平面翼とした。翼は剛性が高くかつ軽量である必要があるため、カーボンファイバーの積層平板を使用した。テーラリングは施さず、擬似等方性板で製作した。板厚は、一次の固有振動数が、約50Hzとなるように、1.5mmとした。これは、モーターの性能、最高回転数3000rpmから決めた値である。つまり、この実験を行う範囲では、一次の固有モード以外の振動は起こらないようにした。次に、トンボの羽ばたき運動、すなわち、上下振動とピッチング振動の連成したモードの羽ばたき運動と同じ運動を行うために、歯車、カム、プーリを使用して、その機構部を設計した。前翼と後翼のピッチや、位相差、羽ばたきの角度も変えられるように設計し、さらに電気的な制御によって、羽ばたきの運動・振動数を変化させることを検討した。
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